夫名義の家でも妻の権利は守られる?
2023/01/24
離婚や死別によって、夫名義の家に妻が住み続けることになる場合もありますよね。
その場合、妻の権利は守られるのでしょうか。
そこで今回は、夫名義の家に妻が住み続ける場合の権利と名義変更手続きのタイミングについてご紹介します。
夫名義の家に住み続けることをお考えの方は、重要ですのでぜひ最後までご覧ください。
□夫名義の家でも妻の権利は守られます
夫名義の家ですと妻の権利はないのかな、と不安に思われる方もいらっしゃると思いますが、決してそんなことはありません。
離婚や死別の場合、妻の権利はどうなるのでしょうか。
結論から申しますと、結婚してから得た家は財産分与の対象となりますので家の名義は関係ありません。
離婚の場合、離婚後は夫と妻で半分ずつ均等に財産分与される仕組みとなります。
財産分与の方法としては、以下の3通りです。
・夫婦ともに住み続ける意思がないのであれば売却してお金を分ける
・夫が住み続ける場合は夫が妻に代償金を支払う
・妻が住み続ける場合は妻が夫に代償金を支払う
例えば、評価額が3000万円の家を売却するのであれば、夫名義であったとしても、妻は1500万円を受け取る資格があります。
一方、どちらかが住み続けるとなった場合は、住み続ける方が出ていく方に対して代償金として1500万円を支払うこととなります。
ただし、財産分与では、必ずしも家を取得する側が出ていく方に対して代償金を支払わなければならないというわけではありません。
離婚の話し合いにおいて、出ていく方が代償金を求めない場合も中にはあります。
財産分与の対象となるのは、あくまでも婚姻中に築き上げた共有財産であることが条件です。
夫が独身時代に得た家や相続した家などは特有財産となりますので、財産分与の対象とはなりません。
なお、財産分与の対象に関しては、基本的には夫婦で話し合って分割方法を決定しますが、話し合いが困難である場合は調停によって決定します。
では、離婚後、夫名義の家に妻が住み続けることについて見ていきましょう。
基本的に可能ですが、そのような状態は危険です。
名義変更せずにそのままにしていると、住宅ローンの規約違反とみなされ一括返済を求められたり、夫が住宅ローンを滞納して競売にかけられたりする恐れがあるからです。
さらに、離婚後も元夫とのやり取りをする必要が生じます。
やり取りをあまりしたくないという方にとって負担となってしまうかもしれません。
そのため、夫名義の家に妻が住み続ける、という場合は、名義変更することをおすすめします。
□名義変更手続きのタイミングについて
前章では名義変更することをおすすめしましたが、果たしてどのタイミングで名義変更すべきでしょうか。
ここからは、離婚前後、生前と死亡後のタイミングに分けてご紹介します。
*離婚前と離婚後での名義変更
離婚前後で大きく異なるのは、贈与税と不動産取得税の負担です。
家の名義変更をすると生じる税金は、贈与税、不動産取得税、登録免許税、譲渡所得税です。
しかし、離婚で家を財産分与するとなった場合、贈与税と不動産取得税は非課税となります。
財産分与に基づいて名義変更をするのであれば離婚が成立していなければなりません。
もし離婚前に名義変更をすると、贈与とみなされてしまい、妻が贈与税や不動産取得税を支払う必要が生じてしまいます。
つまり、離婚前よりも離婚後に名義変更をした方が賢明といえるのです。
ただし、離婚後であっても、財産分与や慰謝料等で明らかに分与された財産が多すぎたり、贈与税や相続税を免れるために離婚をしたりする場合は対象外となります。
*生前と死亡後の名義変更
離婚以外にも、生前と死亡後のタイミングもあります。
生前に名義変更するのと、亡くなられた後に名義変更するのとでは、贈与税や相続税、そして不動産取得税と登録免許税に差が生じます。
生前贈与の場合、贈与税や不動産取得税が生じますが、亡くなられた後は相続税が生じ、贈与税や不動産取得税は課せられません。
登録免許税に関しても、亡くなられた後の相続では評価額の0.4%ですが、生前贈与では評価額の2%となります。
費用面のみで考えると、亡くなられた後に名義変更する方が抑えられると言えます。
ただし、生前であっても、婚姻期間が20年以上であれば配偶者控除の特例が認められます。
基礎控除110万円のほか、最高でも2000万円まで贈与税は課せられません。
このように、一概にどちらがいいかは言い切れないのが事実です。
お悩みの方は、ぜひお気軽に当社にご相談くださいね。
□まとめ
今回は、夫名義の家に妻が住み続ける場合の権利と名義変更手続きのタイミングについてご紹介しました。
夫名義の家に妻が住み続けることは可能ですが、名義変更をすることをおすすめします。
何かご質問や疑問点等がございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。
全力でサポートさせていただきます。